ラブモーション
02/She shed tears of remorse.


彼が私を嫌っていたのは知っている。

今でも嫌っているのを知っている。

嫌っていなければ・・・好いていなければ、こんなことは出来ないと思うからだ。



バッシャーン

今日も豪快に被ってしまった、水。

だけど、今日は違った。

また私はわざとひっかかろうと扉を開けたのだけれど・・・

近くに女子がいたのか、私だけでなく、一人のクラスメイトの女子も水を被っていた。

しかも運が悪い。

今日は昨日のようにただの水ではなく、牛乳の臭いの・・・兎に角、雑巾を使って絞った汚水のようだった。


――臭い。

濡れて汚まみれになった自身の体中を眺めてそう思った。


周りから降り注ぐ笑いが胸を突き刺す。


頬がカアッと真っ赤になる寸前だった。



「ちょっと、あんた!」


隣から罵声が聞こえてびくっと体を揺らした。

恐る恐る垂れる髪の毛を手櫛で掻き分けて顔を上げる。


そこには巻き添えに水をくらった女子が、物凄い形相でこっちを睨みつけていた。

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