ラブモーション


「なんであたしが巻き添え食らわなきゃいけないのよ!」

ヒステリックに叫びながら喚くクラスメイトの女子。


あまりの剣幕に、私は思わず「ごめん」と謝罪を口にした。

体を震わせながら怯える私。

顔を真っ赤にして怒る彼女。


「っざっけんな!謝って済むと思ってんの?!」

今にも噛み付いてきそうなくらいに身を乗り出した彼女は、大きな目を更に見開いた。

顔を近づけながら、屈辱的な言葉を並べぶちまける。

うっと息を呑んだ私は、無意識に後ずさりをしていた。


どんどんと追い詰められる距離。


周りのみんなはそれを囃し立てるように、ヒューヒューと野次を飛ばしていた。


まるでこの状況を盛り上げるかのように、さぞかし面白そうに叫ぶクラスメイト。

ほかのクラスの人までニヤニヤと顔を緩ませている。


周りに目配せしていたそのとき、どんっと肩を誰かに強い力で押された。

その拍子に、どんっと床にしりもちをつく。


慌てて手で体勢を取って、痛みに顔を歪ませながら上を見上げた。


そこにいたのは。私の肩を押したのは、紛れも無い・・・・


「いいぞ!碧衣ーっ」


永倉くんだった。


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