この気持ちは、気付かれない。

秋

side：秋



優衣に惚れたのは、俺の一目惚れだった。高一のとき同じクラスで見て、本当に一目で落ちた。


誰が見ても可愛くて守りたくなる女の子。


クリッとした目は垂れ目で、ちょうど目の上で切りそろえられたぱっつんの前髪が余計にその目を強調してた。


制服からのぞく肌は健康的な白さで、頭のてっぺんから爪の先まで可愛いが詰め込まれてると思った。


優衣は容姿に加えて人懐っこさもあって、入学してすぐに学校のマドンナとして大人気になった。




俺が最初に惚れたんだし。と思っていたのは今でもよく覚えてる。人気者になる優衣への嫉妬だ。







そして、影ながらもっと人気があった、と言われるのが皐月だ。


人と馴れ合わない姿勢とか、優衣にだけ見せる柔らかい笑顔とか、そういうのを見て惚れる男はあとを絶えなかったらしい。










俺は優衣しか見えてなかったから、そういうやつらの気持ちは全然わからなかったけど。