『僕の思い、君の願い』
 

 目が覚めると、午前11時。

 僕が一番お腹がすく時間。


 勝負も忘れて

「お腹すいたな……」

 と、呟いてしまう僕。



 そんな僕に対し、

「そう? じゃあ、そろそろお昼ごはんを作ろうか?」

 彼女は普段と何も変わらない様子で、

「ほら、あの明太子のパスタ。あれ、食べたい」

 僕の突然のリクエストにも

「オウケイ。あ、明太子あったかな?」

 とにかく、冷静だった。



 彼女は縫い物をする手をとめて、柔らかい彩りの布をフワリと床に置くと、弾むように腰を上げ、キッチンにある冷蔵庫向かい、明太子を探し始めた。


「あったよ!」


 いつもと変わらぬ笑顔は、元気そのもの。

「ヤ、ヤッター……!」

 どうやら機嫌が悪いわけでもないみたい。


「……」




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