『僕の思い、君の願い』
 

 両の手をコートのポケットに突っ込み、俯きがちに歩く僕の顔に、笑みはない。


 何周歩いただろう。


「この道が地平線まで延びていればいいのに」



 僕はこのまま永遠に歩き続けて、何処かに消えてしまいたかった。


 疲労感すら、今はそれにすがりたいんだ。


 僕は、僕のこの体を、君を傷つけた分だけ傷つけたいと願っていた。



 君がそれを望んでいない事は分かってるけれど――


 同じくらいに、君から何も期待されていないような気がして


僕は僕に何の価値も見出せないんだ。



 たった一人の愛する君さえ、うまく愛することができない僕は、



 本当に無能だ。





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