私の教官
それからの実車では
板瀬先生が乗っている車に自然と目が向いていて
目が合わないかな~なんて考えている。
...ありえないのに。
板瀬先生は私のことなんか覚えてもいないだろう。
ある日
「どうせ今日もおじちゃんだろうな。」
と思いながら担当の教官を待っていると、
「中村さーん、中村さーん」
低くかすれた声が聞こえた。
すぐに板瀬先生だと気づいた。
「じゃあ、行こうか!」
私よりも30センチ以上大きな板瀬先生の横を歩いているだけで
幸せな気持ちになる。