やっと捕まえた。
見つけた。
俺は、高校卒業し、有名私大に進学
卒業間近
アメリカの大学に転入
環境を変えたかった。

大学では、経営学を
学び、
そのまま、関連会社で勉強しながら
働いた。

将来は、親父の会社を
継ぐ。

それは、俺の前に敷かれた道。


ずっと、心の隅で、葵の事を思って
いたんだと思う。


日本に帰国後、真っ先に、あの学校へ
居るはずない。
もう、6年も前なんだから。


懐かしさから、通学路を歩いた。

道の途中で、見つけた洋食屋に入った。

「いらっしゃい?あれ?お客さん?」
俺の顔をジッと見る店主。


「 は?なんですか?」
「あの…。お客さん…。もしかして、
坂口??」
「何で、名前?」

「俺!映画部の永井だよ、永井達也!
ほら、葵、
覚えてないか?2人でセット作ってさ〜。」
「あっ??…。記憶を…。
えっ!あ〜!思い出した‼︎ 永井!だ!
お前店だしたのか?」

「いや。俺が勝手に此処のおじちゃんから
この店貰った。年だから辞めるって
勿体無いからさ。俺が調理師学校卒業まで待っててもらって、2年くらいここで
修行して、ようやく任せて貰えた。
懐かしさが蘇ってきた。と同時に
腹が鳴った。

「俺、飯食いにきたんだった。
何か、美味い飯食いたい。」
「おっ、待ってろ。」

厨房からいい匂い。

デミグラスの良い香りだ。

「ほら、食ってみろ!」
ハンバーグ。
一口…。目を閉じた。


「永井…。すんげー美味い!」
満面の笑み。

俺は、
何故か、映画部の仲間だけは、特別だった。
気を使うでもなく、話しをしない、
それでいい。
何も話さなくても居られる。
でも、ちゃんと存在を認めてくれる。
不思議な仲間。
永井なら、碧の事何か知ってるかもしれない。そう思った。
思わず、
「笠原って、なにしてる?転校して
から、連絡くるのか?」

「カエデがたまたま、隣県に仕事で行ってて、駅で葵を見つけて声かけたって
たまに、メールしてるみてぇだけど。」
「そっか…。」
「葵…。いきなり転校だったから
俺らもびっくりしたんた。」

「親の離婚でって聞いたけど、それ以上は、わかんねぇよ。」

「そっか…。」
「永井。ごちそうさん。うまかった。
また、来るよ。」「あ〜。待ってる」











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