やっと捕まえた。
着慣れないスーツ。
履き慣れていないヒール。


気合を入れて歩く。
「笠原さん?
「笠原 葵さん?」
柔らかな声の持ち主。
「は、い…。」

「こちらですよ。」


重役専用エレベーターに
乗せられて。

専務室。と書かれた部屋へ。

「おっ来たか!」「坂口直人だぁー‼︎」

「笠原さん…。専務とお呼び下さい。」

「ごめんなさい。…。」


「だから、言ったろ俺は専務。」
「あ〜。」

資料の内容を聞かれ
今必要な部分、
無駄な部分。軽く説明した。

「合格だ。俺も同じくそう思った。
わからない事は、高井に聞いて
仕事を進めてくれ。」


私は、高井さんからデスクとパソコンを
与えられ、高くて積まれた仕事に
取り掛かった。

申請を出している各部からの内部審査

うちの会社は、いわゆる
綜合デザイン建築会社。、
ただ、大手の企業を顧客にして
Officeをデザインしたり
個人の家の内装デザインも手がける。

そして、コーディネート全てをやっている。

ショールームを持っていて、
要望が有れば、海外の商品も扱う。


予算組と売り上げ予測
採算の取れる仕事か
審査している。

それを全て専務が目を通し、
何枚か問題のあるものに、付箋をして
改善策を提案して返す。

一日中その仕事で、ランチも忘れてる。

みんな帰ってしまい、私1人に。

専務室のドアが開く。

「どうだ?進んでるか?」

最後の一枚を手にしていた私。

お前、これ全部終わったの?」
「一応…。」


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