TRIGGER!2
「・・・俺に一杯付き合ってくれるっていう約束・・・忘れてるよなぁ」


 ポリポリと頭をかいて、高田は呟いた。
 ここに立っている、高田にしてみればまだまだ幼い顔立ちをした女の子は。
 薄れていく記憶を必死に手繰り寄せながら、自分が出来る最大の事をしたのだ。
 そうでなければ、今頃このフロアは死体がゴロゴロ転がっていた筈だ。
 だからこの子にとってここにいた人間は、それ程かけがえのない存在だったのだと、高田は信じている。
 その時、山田が入り口のドアから顔を出し、車を回してきたと高田に声をかける。
 あぁ分かった、と返事をして。


「さ、行くよ、お嬢ちゃん」


 その背中に手を回し、高田は“スターダスト”を後にするーー。
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