TRIGGER!2
☆  ☆  ☆



「何だかやっぱり、落ち着きますね」


 屋上からマンションに入り、3人は一旦彩香の部屋に集まった。
 少し照れくさそうに風間は言う。
 片や、リビングに即座に横になりタバコをふかすジョージ。


「いや参ったぜ。まさかあそこに“ドア”があるとはなぁ・・・」
「ジョージも会ったのか? ホクロのヤツに」


 冷蔵庫からビールを取り出して、彩香はジョージに放ってやる。


「隼人も飲む?」
「頂きます」


 風間の分のビールも取り出して、彩香はリビングに座って。
 起き上がりプルトップを開けながら、ジョージは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。


「いや参ったぜ。あいつ、裏口に誘ったと思ったら、ドアの前に俺を立たせて突き飛ばしたんだぜ?」


 まさか、全く同じ手にジョージも引っかかったのか。


「油断したよな。いたいけな子供の格好して現れやがって」
「子供?」


 ジョージはキョトンとして彩香を見つめる。
 そんなジョージを、風間はビールを一口飲みながら軽く睨んだ。


「お前の場合は、何故引っかかったのか大体想像がつく」


 彩香が首を傾げていると、ジョージは苦笑して。


「いっ・・・いやぁ、絶世の金髪美女が太ももムチムチで誘うんだよ。だからついつられて、裏口まで・・・」
「あそこに絶世の金髪美女がいる時点で何かあると疑うのが普通だ」


 ビシッと言ってのける風間。
 彩香も呆れて。


「あのなぁ。首のホクロ見れば一発で分かるだろ?」
「ジョージはそんなとこ見ないですよ、彩香さん」


 じゃあどこ見てたんだよ、と聞く彩香に、風間が答える。


「お尻に決まってるじゃないですか」
「・・・アホだな」
「アホですね」
「お前らぁっ!」


 とにかく、そうやって美人に誘導されてドアをくぐってみれば、全身にあの痛みを感じてのた打ち回った挙げ句、黒ずくめの連中がわんさかいて、あの壮大な追いかけっこが始まったのだそうだ。
 まぁそのおかげで彩香が動きやすかったからいいのだが。


「じゃあ隼人は? どうしてあの場所が分かったんだ?」


 あの状況で誘われないなんて男じゃねぇ、とか言い訳をしているジョージは放置して、風間に向き直り、彩香は聞いた。
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