ハッピー☆ラッキー



昨日、あれほどわたしに泣くなと言っていたふたりが目頭を押さえている。


鬼の目にも涙か……。


台風が来なければいいけど……。


「だって、元気になった先輩とまた一緒に試合に出られるのが嬉しくて……」


「そうですよ、どん底だった先輩に笑顔が戻ってきたんですから……」


泣き笑いするふたりにジーンと来るものがあったけれど、グッとこらえて、


「最高のメンバーで最高の試合にしようね!!!!」


そして、最高の笑顔になろう!!!!


試合開始時間が近づき、会場に入ると、会場内は異様な盛り上がりを見せていた。


大歓声の中から聞こえる


「おーい、ナナーーッ!!!!」


一際大きな声に振り返ると、


「……ッ!お兄ちゃん!!!?」


息が止まりそうなくらい驚いた。


本当に来たんだ……。


黙っていても目立つのに、手なんか振っちゃって……。



.
< 248 / 275 >

この作品をシェア

pagetop