私だけの魔法の手。

毎日帰り道が楽しみで、残業が嫌じゃない自分がなんだか怖かった。
別に何か進展を望んでる訳でもないし、それどころか、別に顔が見たいとも思ってる訳じゃないのに。


そんな自分の心理が自分でも理解できなくて困るけど、今日も私は、きっちり美容院の営業終了の一時間後まで残業なんかしちゃって。
いつもの、あの男の子が一人で練習をしている時間を見計らって、自分の仕事を片付けた。






もうすぐ美容院の前、という所で、視界に飛び込んできた男の子に急激に心臓が跳ねた。
今まで顔を見た事はなかったけど、チラッと見えた足の感じとか、大きなガラス張りの窓の、目隠しになっている部分の上から見えるツンツンした髪のてっぺんとかが見覚えのあるものだったから。




私ってばストーカーみたい!
自分に自分でツッコミを入れて、なんだか意識してる自分が恥ずかしくなった。



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