海風の如く





しかし、これまでの伊藤とのやり取りのせいで、彼を味方にする、という視点が華蓮にはなかった





「蓮の話にも出てきてるけど、俺も昔から付き合いがあるから伊藤さんが頭のキレる人だってことはわかってる



でも___




だからこそ、味方にできたら、すごく心強いんじゃないかなって思うんだ




もちろん、そんな簡単にいくことではないことはわかってるけど………伊藤さんは皆が言うほど悪い人ではないって俺は思ってるから余計にそう考えちゃうんだよね」






__伊藤甲子太郎を味方に…か




確かに考えてもみなかった




山南や藤堂の離隊に繋がるという史実ばかりに目が向いてしまい、新撰組にとって悪影響と思い込んでいた




いや、それは別に今でも間違っているとは思わないが____






「そっか…………

確かにその視点で考えたことはなかったなぁ」




「それは仕方ないよ
蓮が知る未来を聞いたら俺でも今の蓮と同じようなことを思うから」




__もし、もし、伊藤を味方にできたら?




新撰組の内部事情を心配する理由はなくなるし、伊藤の饒舌さを使えば後々の交渉関係をうまくやってくれる人材ではある………と思う



勘も鋭いし、剣の腕も立つと聞く






「ありがとう、平助君」




「え…?
お礼言われるようなことした?」




「うん
だってこのこと言うのにすごく勇気が必要だったでしょ?」





伊藤が入隊してから、古株メンバー内では伊藤のことは要注意人物として扱ってきた




それを今さら味方にするのは、という提案は物事を根幹からひっくり返すことにもなりかねない




それでも、藤堂は自分の想いを伝えてくれたのだ




「まあ……それはそうだけど」



「それだけじゃないよ
平助君の考えを聞いて、私も少し別の考え方ができそうだから」



「うーんと……良いこと?かな?」



「もちろん!」



華蓮は笑顔で答えた




「よし、じゃあ伝えてよかったって思うことにする

このことは蓮にしか話すつもりないから」



「そうだね、その方がよさそう
少し考えてみるよ」






まだ不確かなことが多すぎる
そんな中で、皆に話すのは混乱を招くことになりかねない






「よろしく頼むよ、新撰組の頭脳、さん」



「はい、頼まれました」



そう答えると、藤堂は去っていった



若葉が生い茂り、新しい風を呼んでいる気がしていた








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