罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


「俺中学の時から、ずっと有華が好きだった」

「うん」


彼の口から星乃先輩のことが好きだと聞くと、やっぱり辛かった。


「だけど有華は俺の先輩の哲真さんと付き合ってた。
普通に似合ってたし、二人でいるのを見てるのも好きだったから、とるつもりなんか全然なくてさ」

「うん」

「だけど哲真さん、いつからかすげーイライラするようになって、束縛とか激しくなって。
有華がモデル初めて、他の男からよく声をかけられるようになった頃からかな。
周りの俺らから見ても、ちょっとおかしいって思った。
ケンカばっかりしてるみたいだった。
一回、殴られたこともあるって」


「そんな……」


「そういうの聞いてたら放っておけなくて、相談聞いたりして。
心配だって思って何回も会ってたら、なんかずるずる付き合うような感じになって」


「ちょっと前、付き合ってたんだよね?」


えみが言っていた話を思い出す。
校内で一緒にいたし、有名だったらしいから隠れてこそこそ付き合っている感じではなかったんだろう。


「俺と有華はそのつもりだった。有華は哲真さんに別れたいって何度も言ってたし、それでいいと思ってたんだけどな。
やっぱりバレて、相手が俺なのも許せなかったみたいで」


彼のついた溜め息が、白い息になって消えていく。


「結局お前を巻き込んだ」

「分かってたよ。
龍也君はずっと星乃先輩が大事で、星乃先輩を守りたかったんだよね」



知ってた。
全部分かってた。

龍也君が私のことをどうでもいいと思っているのも。

龍也君の心の中には、星乃先輩しかいないのも。



――分かってたのに、どうしてこんなにつらいんだろう。



「ねぇ、龍也君はどうして私を選んだの?」

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