10年の片想い






「凜さん美愛さん。
これ、兄が調べたのですが」



あたしと美愛の目の前に紙を置くカオリ。

ちなみにカオリの義理のお兄さんこと楓さんは、海であたしたちが会った、あのカオリ似の男性のことなんだって。

義理でも、よく似ているよなぁ……。





「何これ!
久留米凛と田島美愛の調査書!?」




渡された紙を見て行く。

中には、あたしたちの経歴が書かれていた。

そして2枚目には、写真が1枚貼られていた。

どうやら、防犯カメラの映像らしい。

あたしと美愛がいるのは、職員室?





「凜、美愛。
理事長がお前らを退学にしたかったのかは、直接の原因は、乱馬の秘密を調べることじゃなかったんだ。それが原因だ」

「え?」




違うの?





「凛と美愛が立っている場所を見ろ」

「場所?…これ、理事長の席の近くだ」

「カオリ、拡大写真があるはずだろ。見せてやれ」

「はい」




スッと取り出し、置かれた写真を見る。

理事長の机がドアップになっている写真だった。




「よく見ろ。
理事長の机の上、さっきカオリが理事長に突きつけた紙が置かれているだろ」




カオリが理事長に突きつけていた紙。

あの、約80億とかとんでもない数字が書かれた紙だ。

あの80億は、理事長が学校から盗み出したお金だったんだよね。

その紙が無防備に、ポンッと机の上に置かれていた。







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