10年の片想い
「……話を戻しましょう。
キラ、今度こそ僕の言うことを聞いてください」
「……はい」
こういうやりとりを聞いていると、カオリが総長なのでは?と思う人がいると思うが。
カオリはあくまで副総長だ。
中では誰よりも総長らしいが、カオリは決して総長にはならない。
総長はトウヤだと決まっているからだ。
言ってしまえば、カオリ以外に副総長も出来ない。
……理由は、後ほどわかるだろう。
「あの2人、久留米凛と田島美愛を、姫という地位から外してください」
「はっ!?」
ガタッと椅子から、てかソファーからキラが立ちあがる。
「何でだよっ……」
「キラ。
あの2人を姫という地位に置いておきたい、キラの気持ちはわかります。
ですが、あの2人は姫にしてはいけない存在です。
それはキラでもお分かりでしょう?」
「……ッ」
「キラも見たでしょう、凜さんの取り乱しように」
キラは思いだしたのか、ソファーに腰かけた。
「僕らといれば、いずれ凜さんは再び取り乱すでしょう。
そうしたら、凜さんのことについて言ったのを黙っていてほしいと頼んできた美愛さんにも悪いことをしてしまいます」
キラがテーブルに置かれた珈琲を飲んだ。