10年の片想い
「それに、いずれバレると思いますよ。
僕らが一体何者なのか……」
「…………ッ」
「僕らの家柄を知られる分には、構わないでしょう。
ですが、僕らが過去にしてきたことがバレるのは、時間の問題でしょうね」
「……だけど、ボクは凜ちゃんと美愛ちゃんを、姫にしたいんだ」
「…………」
まさかキラが反論するとは思っていないかったようで。
カチャ、とカオリが眼鏡を押し上げた。
そしてそっと、左目にある眼帯に触れる。
「……良いんですか、トウヤ」
左方向に座る、トウヤを見る。
トウヤは小さく頷いた後、口を開いた。
「俺は、隠し通した」
「何をだ?」
キラが首を傾げる。
「この額の傷…」
そっと前髪を上げ、トウヤが額に走る傷に触れた。
整った顔立ちに似合わない、痛々しい傷。
「車との接触事故でついた傷だと言った。
キラも、その腕の傷、テキトーに言っておけ」
キラがまるで自分自身を抱きしめるかのように、両腕を押さえた。
そして、痛みはないはずなのに、顔を歪めた。