僕が彼女にチョコを貰えなかった理由
「何で?驚かないの?」


「だって、あの二人って付き合ってないのが不思議なくらいだったし・・・

 やっと?みたいな。」


「そりゃ、龍人は鷹くんとも彩花とも知り合いだからそんなこと言うけどさぁ〜

 鷹くんを知らない私としては、やっぱり心配だったしさ・・・」


彩花と幼なじみで、龍人と小学校からの親友の鷹くんのことはよく話の中に出て来るけど、会った事は無い。


多分、両思いなんだろうとは思ってたけど、やっぱり上手くいくか心配してた。


「そんなことより・・・」


「何?」


膨れていると、龍人はさっきまでより強く私を抱きしめて、耳元でささやいた。



「何で、昨日くれなかったの?」



「・・・・」



やっぱり聞かれちゃいます?



ブラウニーは無事に渡したけど、一昨年も去年も、そして今年も挙げなかった理由は話してなかった。



「だってさ・・・・」


後ろから私を抱きしめている龍人の腕をギュッと握った。



「だって、龍人に素人の手作りなんて上げて、喜ぶかわかんないしさ・・・」



「春香がくれるモノならたとえどんなモノでも嬉しいけど??」



「それでも嫌だったの。

 龍人は優しいから、まずいなんて言ったりしないと思うけど、そう思われるだけで嫌だったの!」



「俺が不味いと思うこと前提なんだ・・・」



「だって、あんなに美味しいケーキ食べて大きくなったんだよね?

 私の手作りが美味しい訳ないじゃん・・・・」



すると龍人が黙ってしまった。







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