僕が彼女にチョコを貰えなかった理由
決定的な出来事は、俺が彼女の涙を見た時だった。


後で聞けば、ただ単にコンタクトがずれて痛かっただけだったが、彼女の涙に欲情したのだ。



それから、俺は本気モードに切り替えた。



面白半分に冷やかす部のみんなをよそに、真剣に彼女を落としにかかった。



流石に、俺の気持ちに気づいた彼女が動揺する姿が俺の加虐心を煽る。



彼女によって気づかされた自分の意外な一面。


もう引き返せなかった。


この欲望を満たせるのはあなただけ。




押し倒すと、渚さんは俺を見上げながら聞いた。


「全部知ってたの?」


まだうっす滲んだ涙が俺の理性を揺らす。



「全部って?

 こっそりダンボールの中に入れた事?

 それとも、何回もチョコの練習した事?」


そう言うと、明らかに驚いた表情をうかべる渚さん。


俺はさらに彼女を追いつめる。



「去年も、くれた事??」



それを聞いて固まった渚さんを見て、疑惑が確信に変わった。



去年のバレンタイン。


みんながくれたチョコの中に、見覚えの無い手作りのラッピングを見つけた時、思い出したのは、ただ渚さんの動揺することろが見たかっただけで言った一言。


「俺、好きな人から手作りを貰うのが夢なんです。

 遠藤さんくれませんか?」



飲みの席でバレンタインの話をしていた時に、彼女は明らかに狼狽えていた。


別に、チョコが欲しかった訳じゃない。


でも、手作りのそれを手にした時、思わず笑みが溢れた。



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