嘘つきな僕ら



入塾初日。


俺たちの話を聞いて、守とタケも一緒に夏期講習に参加することになった。


そして驚きの話。


守は大好きなバスケに力を入れたい、バスケの成績もいい北陽高校を目指してる。

タケは彼女の瀬川が西山さんと同じ桜坂高校を志望しているため、少しでも一緒の時間を、そう思って北陽高校を目指すとのこと。

みんなどんな理由にせよ、同じ北陽高校を目指してることに、みんな笑いあった。



『俺たち、春は全員、北陽高校な』


その日から俺たちのスローガンは“全員、春は北陽”になった。




塾には同じ学校の奴もいれば、知らない学校の奴もいる。

実は数日前に塾の振り分けテストに参加していて、今日がその発表日でもある。


俺らは振り分け発表の用紙が掲載されている場所までいき、それぞれのクラスを確認。



『…やっぱりな』


タケの言葉に全員苦笑い。


『学校でも一緒で塾のクラスまで一緒、ある意味縁があるよな、俺たち』

守の言葉に全員が頷く。


もちろん俺たち全員、基礎クラス。


『良之、この名前!』


加藤が用紙にある特定の人物の名前を指差す。


そこには“西山由莉”と書かれていた。



『…え…』


『俺が由莉に教えた、お前が夏休みの間はここに来るって』


守はニヤケ顔で白状した。



『そしたら私も行くって即答、まぁ…あの由莉が俺たちと同じ基礎クラスって何かの間違いだと思うんだけど』


守の言葉に嬉しくもなり、でも頷く。


『間違いじゃないわよ、だってこの子、全部の教科、一問しか答えてないもん』


背後から聞こえる言葉に俺らは全員振り向いた。


そこには瀬川と、瀬川の後ろに隠れるようにして並ぶ彼女の姿。



『…ま、麻衣子…』

瀬川の入塾を聞かされていなかったのかタケは隣で驚いた顔をしている。


『え、てか…それどういう意味?』


驚きを隠せないタケの隣にいる加藤が尋ねる。



『この子、どうしても同じクラスになりたい人がいるからって、振り分けテストの日に全教科一問だけの回答、それで基礎クラスに振り分けされたってこと』


そう言って、瀬川は溜息を一つ。


『へぇ~』


それを聞いた守も加藤もニヤケ顔。


『相変わらず愛されてますね、良之』


加藤のその言葉になんと答えたらいいのか…

俺は急に恥ずかしくなって、一足先に基礎クラスの教室に逃げ込んだ。

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