嘘つきな僕ら
第三章

受験勉強



あれから一週間。

もう少しで中学最後の8月を迎えようとしていた頃、塾講師でもあり、彼女のお兄さんから呼び出しをくらった。


みんなの前だったから用件は何も言われなかったけど、言われなくても呼び出される理由は‥


成績ががた落ち

もしくは彼女のこと


俺は授業終わりに指定された場所に向かう。


『おぅ、良之』

お兄さんは俺に分かりやすいよう、手をあげてくれる。

ここは塾の屋上、生徒は立ち入り禁止になってる場所。

でもお兄さんはタバコを吸うため、密会場所をここに選んだらしい。


‥なんて話をしながら、話はだんだん核心に触れるような勢いだった。


『‥でさ、由莉となんかあった?』


俺はお兄さんがどういう意味で聞いていて、どこまでを知ってるのかが分からなくて、返答に困ってしまう。


俺が返答に困っている様子を見かね、タバコに火をつける。

ぷ~んと漂うタバコの匂い…


『うん…一週間前くらいに由莉が大泣きして帰ってきたんだよ。
 俺も母親も驚いて、訳を聞くんだけど何も言わなくてさ…
 食事もあまりとらないし、部屋から全然出てこようとしないんだよ』


俺に気を遣って、困ったようにだけど笑いながらそう話すお兄さんに、彼女の今に、俺はひどく胸が痛んだ。



『…ご迷惑をおかけしてすみません…』


俺は深々と頭を下げて、そう謝罪した。



『訳をはなしてくれないか?』


お兄さんの言葉に、俺は躊躇う。


俺が話したことが、お兄さんの口から彼女に知られたら…

彼女はなんて思うのか…


でも…


俺のせいで、彼女だけでなく、お兄さん、そして彼女のお母さんにまでご迷惑をおかけしてる…


『話してくれるとありがたいよ、俺も、それに由莉も』

お兄さんの言葉に、俺は彼女と話したことを全て洗いざらい話した。



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