【完】翼龍 ヨクリュウ ~あたしとクールで腹黒な総長と~

さなを後ろに乗せても

気持ち良く走ることができホクホクとしていると


すぐに、会場であるユース高の裏についた。



辺りを見回すと、すでに幸や直、美紀は来ているようだ。




美紀がいるなら大丈夫か。





と、メンバーのところに向かう。



「オッス!涼

俺が、頑張って作ったしかけ楽しみにしてろよ」



幸が片手をあげて挨拶してくる。


すると


「今回は黒川さんも参加するんすね。」

「一条さん(直)もですよね?」



舎弟達がドワッと押し寄せる。


ッチ抜け出してぇ

けど、慕ってくれてんのに突き放せねぇ。




幸はぜってー助けてくんねぇだろうな。

直は、どこに行ったんだ?

何とか首を回して確認すると、



メンバーらしきひとりの男がさなに話しかけているのが視界の端に見えた


「・・・」



「・・・」



チッ



ナニ喋ってんだ?


全然聞こえねぇ。

メンバーだからって油断できねぇのに


今すぐ、そっちにいきてぇ。




「おい。涼を借りるぞ」


集団の少し離れたところで直が舎弟に声をかける。

すると、面白いくらいに俺と直の間に道が開けた。

俺の思いが通じたのか?


「サンキュー」


「ああ。くじ引け。

ついでに、あいつにも引かせてこい」


これを口実にすれば良いのか。

気が利くな。



「サンキューな。」


「貸し1だ。」


「了解」


早足でさなのところにいく。




「だって、いままではバイクの度胸試しだったのに

かえたみたいだから、

君のためかと・・・」


メンバーらしき男が喋っている。

くそ、なに余計なこといってんだ





「なに、話してる

こい。」


さなをさりげなく自分に引き寄せる



「クジひけ。

早くな。」



そして、男の眼を睨んだまま

くじの割り箸をさなに突き出した。





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