コトノハの園で


空いたお皿が片付けられ、デザートを追加したあと、尋ねられた。


「菜々ちゃん、最近図書館来ないね。桜寂しいんだよ?」


……。


「仕事、忙しいんだ。またそのうちにね」


「じゃあいつっ? 桜もそこ合わせるよ?」


桜ちゃんがカラフルな手帳を鞄から取り出す。


「うーん。まだ分かんないな。――ちなみに、絶対に行かない日は?」


さりげなくチェックをする。


「なんで?」


「その日は行かないようにするから」


「そっかぁ。了解っ!」


何も疑うことなく教えてくれたその日、桜ちゃんが図書館へ行かない日――すなわちそれは、森野さんがお休みだということを、私は以前から知ってる。


今も変わっていないことをひたに願う。


一番近い日は、三日後。それは香田さんとの約束の日で――。


「菜々ちゃん、何考えてるの?」


「っ、別に、何も。デザートまだかな、って」


「嘘でしょ?」


「ごめん。仕事のことでした」


「……、嘘ばっか」


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