コトノハの園で


そして今、


それは、とても瑣末なことかもしれないけれど。


『新人類』


健人の言葉と、変化を望んだ僕の気持ちが手を組んだ。





そうさ。僕次第だ。


どうせ深町さんはまたここに来るだろう。


中庭は、僕だけの空間ではないのだから。


僕が、少しだけあそこでの時間を増やしたとして、いや、そんなことをしなかったとしても、鉢合わせすることもあるかもしれない。


いつもなら、誰かがいたら引き返していた。


会話の可能性のある見知った人の好む場所なら、もうそんなところへは足を向けなくなる。たとえそこが、僕の特別だとしても。


けれど、気を張る必要はない。


遠慮する必要も。


それは、今までもそうだったのだけれど……。


別段、意識するわけでもなく、僕は来たい時に中庭に来ればいい。


それが、普通なのだから。


望んだじゃないか、僕は。


相手は、きっかけのひとつでもある深町さんだ。


理由付けなどそれで充分だ。


まずはゆっくり、一人の人に慣れてみるのもいいかもしれない。






< 26 / 155 >

この作品をシェア

pagetop