コトノハの園で
案の定、森野さんはそんな表情を浮かべる。
あからさまに安心したような、少し眉を下げる表情のなんて素敵なこと。
「っ、だからここで――、本を読みたくてですか?」
「はい」
少しでも、何かしら感情を抱いてもらえるように――そんな笑みを向けてみたけど、森野さんには見てもらえなかった。
視線を合わせるのって、やっぱり、そんなに怖いことなのかな……?
でも、そんなふうに思ったらいけないことだって理解もしてるから、疑問はすぐに打ち消した。
その行為が可能な人からの『大丈夫』っていう言葉は、不可能な人には響かない。
痛いだけ……痛むだけ。
大丈夫じゃないから、こんなに悩むんだ。