コトノハの園で


だから、僕は深町さんを信用する。


そして、また中庭へ行く。


――当たりが出たので――


そう言って、紅茶のお礼に、紅茶でも渡してみようか。


告白の答えは……。


必要ないと言われたので、悪いけれどそうさせてもらう。


何故なら、想いを告げられて不安になるかと思ったら、それはむしろ逆で、大きな安心感になってしまったからだ。


まるで、断崖絶壁に追い詰められたところ、足を滑らせた先には大きな揺りかごがあって、その中に包まれ助かったような――。


僕という人間は、なんて都合よくつくられているのだろう。


申し訳ないとは思う。


けれど、こんなに穏やかに進んでいってくれるリハビリの要を手放したくなんてなかったんだ。







――


年が明けた開館日初日。


暦だけじゃない。大気までもが新たな装いの中、僕は休憩時間に中庭へ。


紅茶計画も実行。


あんなに脳内シュミレーションを重ねたというのに、スマートになって程遠い……。


決して、目を合わせることはなく、紅茶はベンチに置かれるだけで終了してしまった。







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