大嫌いなアイツの彼女になりました。





「ああ……うん。けど、好きになったのは再会してからで……」


「そっかぁ」



 ー-本当は、好きじゃないんだけど。


 そんなこと、双葉ちゃんには言えなかった。

 だから、胸が痛んだ。



「……純香ちゃん、お兄ちゃんに言ってないの?昔よく遊んだこと」

 双葉ちゃんはそう言ってあたしを見つめる。



「ああ……同じ小学校だったとは言ったけど、あたしのことなんか忘れてるみたいだし……何も言ってない」


 もちろん、いじめられていたことも。

 望月相馬はあたしのこと、何も、何も、知らない。



「へえ……最低だね、あんなに特別扱いしてたのにさ」


「けど、忘れちゃってるんだもん。きっと特別でも何でもなかったんだと思う。」


「いやいや、それはないと思う!じゃあ……一応、黙っておくね。昔遊んだこととか」


「ありがとう、双葉ちゃん」





 もし、もしも望月相馬が全て思い出したとして。

 それでも彼は、変わらずあたしに優しくしてくれるだろうか。


 きっと、それはない。


 一瞬にしてあたしはフラれるだろう。

 もしかしたら、前と同じようにいじめられるかもしれない。

 下手したら、復讐の為に近づいたこともバレてしまうかもしれない。


 ……そうなったら、全てが無駄になってしまう。



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