大嫌いなアイツの彼女になりました。







「……昔も、こんな風に純香ちゃんに慰められたことあったから」


「え?いつ?」


「公園で遊んでる時にあたしが指を犬に噛まれた時」


「……あー、あったね。双葉ちゃん、大泣きして」


「うるさいっ!」


 双葉ちゃんは頬をぷくっと膨らませた。

 あたしはくすっと笑う。



「その時、純香ちゃんニコって笑って、泣いてるあたしに『大丈夫だよ』って言ってくれた。絆創膏も貼ってくれたし。だから、すぐ泣き止むことが出来たんだ」


「……まあ、そんな大したことしてないけどね」


「けど、嬉しかった。あの時は恥ずかしくて言えなかったけど、ありがとう」


 双葉ちゃんはそう言って微笑んだ。



「……遅いよ。その時言ってよね」


「へへっ、ごめん」



 あたし達は顔を見合わせた。

 そして、同時に笑った。






「……にしても、純香ちゃんお兄ちゃんのこと好きだったんだね」


「え?好き?」


 唐突に言われたことに、思わず聞き返した。



「だって、付き合ってるじゃん」


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