大嫌いなアイツの彼女になりました。





 山口さんはあたしの隣の壁を勢いよく蹴った。


 あたしは一瞬驚くが、本当に女子なのか?と思って面白く感じてしまい、笑いそうになる。

 にやける口元を必死に抑え、何とか笑いを堪えた。


 だって今笑ったら、完全にキレられるだろうし。




「あんたさ、本当迷惑なんだよ。うちらの相馬くん取るなってーの」

 山口さんはそう言ってあたしを強く睨んだ。


「そうよ、最低」


「色目使ったんでしょー」

 次々と、それに乗っかったような言葉を浴びせられる。


 一番、面倒臭いパターンだ。



 ま、望月相馬のことで怒られるってことは、分かってたんだけどね。

 アイツ、なんだかんだでファン多いからなぁ。



「別れろよ、邪魔なんだけど」


「マジ消えて」


「ウザい」



 なんか、ドラマとかでよく見ることだなぁ。


 あたしは次言われそうなセリフを考えてみた。

 多分ね、<あんたに、相馬くんは似合わないのよ>とかだろうな。



 ……と、思っていた時。


「あんたに、相馬くんは似合わないのよ」

 山口さんが、あたしの予想したセリフをまんま言った。



 ……ああ、ヤバい。


< 136 / 203 >

この作品をシェア

pagetop