大嫌いなアイツの彼女になりました。
山口さんはあたしの隣の壁を勢いよく蹴った。
あたしは一瞬驚くが、本当に女子なのか?と思って面白く感じてしまい、笑いそうになる。
にやける口元を必死に抑え、何とか笑いを堪えた。
だって今笑ったら、完全にキレられるだろうし。
「あんたさ、本当迷惑なんだよ。うちらの相馬くん取るなってーの」
山口さんはそう言ってあたしを強く睨んだ。
「そうよ、最低」
「色目使ったんでしょー」
次々と、それに乗っかったような言葉を浴びせられる。
一番、面倒臭いパターンだ。
ま、望月相馬のことで怒られるってことは、分かってたんだけどね。
アイツ、なんだかんだでファン多いからなぁ。
「別れろよ、邪魔なんだけど」
「マジ消えて」
「ウザい」
なんか、ドラマとかでよく見ることだなぁ。
あたしは次言われそうなセリフを考えてみた。
多分ね、<あんたに、相馬くんは似合わないのよ>とかだろうな。
……と、思っていた時。
「あんたに、相馬くんは似合わないのよ」
山口さんが、あたしの予想したセリフをまんま言った。
……ああ、ヤバい。