大嫌いなアイツの彼女になりました。








 夏休みに入って、少しテンションがハイになっていて。

 だから、仕方ないのかもしれない。


 でも、それでもさ?



「じゃあ今からホテル行こっか?」


 ちょーっと、思ってたのとは違うんだよ。











 カラオケ店でバイトをしているあたしは、今日もバイトを頑張っていた。

 今だって、頼まれたジュースを持ってお客さんがいる部屋に入っただけ。


 部屋には、男の人が3人。

 その内の一人があたしを見るなり、「歌ってよ」とマイクを差し出して来たんだ。


 まあ、この仕事をしていたらたまにあるんだけど。

 いつもは適当に断っているあたしだけど、今日は夏休みに入ったばかりで浮かれていて、要求通り歌を唄った。


 もちろん、お客さんも喜んでくれた。


 そうやっている間にいつの間にか盛り上がって、お客さんが一言。

「なあ、バイトなんてサボってさ、ホテルでも行こうよ」


 思いがけない言葉に、目を見開いて驚いた。

 でも、もちろんあたしは断った。


 最初は笑顔で断っていたけど、しつこく言ってくる彼らに嫌気が差し今では睨みを利かせている。





「本当、そういうつもりじゃないんで」


「えーっ、じゃあ俺、言っちゃおうかな?」


「は?何をですか?」


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