大嫌いなアイツの彼女になりました。








 体育館の扉が少し開いたのが目に入って、ついあたしはそちらを見つめる。



「おいっ、遅いぞ」


「あー、サーセンッ」


「お前なぁ、二学期早々……」


 小声の会話だったけど、静かだからかはっきりと聞こえてきた。


 にしても、あの生徒派手だな……っていうか、シルエット望月相馬にそっくりだよ。

 その生徒はあたしに背を向けていて、顔は分かんないけど。


 ……まあ、望月相馬のわけないか。

 こんな時まで望月相馬のことを考えているとか、あたし結構重症かも。



 そう思いながら、今度こそ話そうと怒られている生徒から視線を外そうとした時、

「えっ……」

 その生徒が一瞬、こちらを向いた。


 だけどすぐに先生に喋り掛けられ、また背を向けたけど。




 ……あれは、間違いなく。


 望月相馬だ。





 なんで?

 どうして、あたしの学校にいるの?


 幻覚じゃないよね?なんて自分の目を疑うけれど、チラつく横顔は望月相馬以外誰でもなくて。



 驚きすぎて固まったように望月相馬を見つめた。

 全ての思考が止まったみたいだった。



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