大嫌いなアイツの彼女になりました。








 でも、ほとんどの生徒が望月相馬が遅れて体育館に入ってきたのを知らない。

 知っていても興味がないみたいで、あたしのスピーチを待っている。



 だからか、中々喋り出さないあたしに体育館中がざわめき出す。



「ねえ、まだ……?」


「何してるんだろう……」


 そんな声が段々大きくなっていって、あたしはハッと我に返った。

 視線を体育館全体に向ければ、みんなが不思議そうにこちらを見つめている。


 あ、ヤバい。

 ちょっと失敗してしまった。


 慌てて喋ろうと思っていたことを思い出す。



 そして大きくお辞儀をすると、マイクに顔を近づけた。


「すみません、考え事をしてしまっていて……えっと、私は」




 だけど心はずっと、望月相馬のことばかりを思っていた。


















------------------




< 46 / 203 >

この作品をシェア

pagetop