天使な君は儚すぎる夢を僕にくれた
「海、飲みいこうぜ!」


帰り支度していると、同期入社の佐東(さとう)睦月(むつき)に肩を叩かれた。さらさらの髪が彼のトレードマーク。猫みたいな大きな目。ほんの少し笑うと、こいつの周りだけ花が咲きそう。


ホント、少女漫画の王子さまが適役。


「今日は用事があるんだ睦月」


「用事ってまさか...デートじゃないだろうな」


睦月は社内でもプレイボーイと噂される人物。なんでこんな時に限って話しかけてくるのだろう。


「デート何てするわけないだろ?彼女すらいないのに。実家から母親が訪ねてくるんだよ」


と、僕は素早く嘘をついた。しえるの事がばれたら大変だから。


「わかったよ。今度いいとこ連れてってやるから期待してろよ」


はいはい。
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