天使な君は儚すぎる夢を僕にくれた
「お見合いじゃないんだから、何か話せよ」


睦月が笑いをこらえながら、僕と初音さんを交互に見ている。


「あのなぁ......睦月。お前の妹だぞ。僕なんかに紹介していいのかよ」


「だって海は彼女いないじゃん。それに俺は、海ならうちの妹もらってくれてもかまわないと思ってるけど」


「はぁ?」


僕は声を上げた。初音さんは耳まで赤くなっている。僕は睦月の無責任な言葉に怒りを覚えた。


「睦月!お前はホント、いい加減だよ。自分の妹なんだぞ?」


「わかってるよ」


「わかってねーよ!」


「やめて下さい」


僕と睦月が険悪なムードになっていたのを見かねたらしく、初音さんは静かに話し始めた。


「私が無理にお兄ちゃんに海さんに会いたいと頼んだんです。ごめんなさい」


「え、あ......その、まあ。謝らなくていいよ」


初音さんは、視線を下に落としている。初音さんの長いまつげが震えているのが見えた。
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