【短編】七夕奇譚
「ねぇっ!サキっ!怒らないから!怒らないから、何があったか言って!」
私は、サキの目を見据え、何とか正気に戻そうと語りかけた。
すると、サキの目が力無く私の目を見つめてきた。
「センパイ…………私……………忘れてたんです………。」
「うん…………何を?」
サキの言っている事は要領を得なかったが、とにかく、何でも良いから話させるようにした。
「田町さんに…………言ったの…………天の川………。」
「うん、天の川が、どうしたの?」
「キレイって…………お部屋で見るよりも…………」
「部屋で、見るよりも………?」
「……お………おく…………おく、じょ…………あぁぁぁぁぁぁ………。」
そこまで言うとサキは、子どもに戻ってしまったかのように泣きじゃくりだして、止まらなくなった。
(おく、じょ…………?
………屋上…………?!)
その時私は、サキが病院のある一点をずっと見ていたのを思い出した。
(確か………二階あたり………。)
「………………!!!!」
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