100通目のラブレター


「え?そうだっけ」


「うん…女の子?」


「いや、男」


「えっ!?」


あっさりそんな答えが返ってきて、丁寧な字からすっかり女の子だと思い込んでいた私は、思いっきり驚いた。


「何でんなに驚いてんだ?」

「だ、だだだだだって、字が…」


「はぁ?男ならみんな字が汚いとでも思ってたのか?」


「あ、そっか…。でも…会ってみたい…かも」


「ん?」

「会いたい!海斗の…いとこ」


「っ!?む、無理無理無理無理無理無理!」


「何でよ!」

「そ、それはその…。
えっと、ぶ、部活!」

「へ?」

「あいつの部活、監督が代わって超忙しくなったんだよ」

「何部なの?」

「野球…」


「同じ地区?」


「……。」


「なぜにシカト?」


「そうだよ」


「ってことはそのうち会えるかもね」


「っ…」


なぜか渋い顔をした海斗に若干の疑問を持ちつつ、
「5月24日」


と、私達にとって大事な日の話を切り出した。


< 42 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop