100通目のラブレター
「…。」
「……。」
でも、一緒に帰っているのはいいものの、私からは朝のことがあって話しかけられなかった。そして、なぜか海斗も口を開かなかったから、2人の間には重い空気が流れていた。
それでも、家に着くと一緒に帰ってくれたお礼を言うために口を開こうとした。
『あのさ!』
え…。
「わ、わり。何だ?」
「いや、いいよ。先にどうぞ?」
「いーから葵が先に言えよ」
「えっ、えっと…」
「やっぱり!」
「え」
「俺に…先に言わせて」
「あ、はい…」
「……。」
自分から「先に言わせて」って、言っておいてなかなか言い出さない海斗が心配になって、私は
「海斗?」
って、呼んでみた。