今宵、月が愛でる物語
いつもランチで行く店で見かけた風華。

その彼女が満員電車で具合が悪くなり駅でふらついていた所を偶然見かけ、介抱した。

その縁もあり、何度か食事するうち明るく穏やかな彼女に惹かれ…一生懸命気持ちを伝え…恋人になって3年…一大決心してプロポーズした。


それは一年前のことだった。


俺が左手の薬指に指輪をはめたのを、涙を流して喜んだ彼女の顔が今でも忘れられない。

結婚したい人がいると名前を告げ、写真を見せた途端みるみる変わった両親の顔色。


呆然とする父。


泣いて父を責める母。




そこで知った全ての事実。



決して俺たちは、結ばれてはいけなかった。



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