今宵、月が愛でる物語
残業を終えて電車に乗る。


窓の外を眺めても、虚しい景色が続くばかりだ。


風華が去ってからもう一年近く経つというのに一向に傷は癒えない。

それどころか毎日、少しずつ刺さって行く棘のように確実に痛みを積み重ねてきた。



< 35 / 136 >

この作品をシェア

pagetop