幼なじみ
飾り細工のドアを開ける


モダンに統一された店内


テラスの一角に座って
ケーキを頬張る


フルーツの甘さと生クリームの香り


先輩は小さなところを気遣ってくれる


私のケーキ皿を持ってくれたり


取りやすい位置にセッティングしてくれたり


きっと
女の子の扱い方をきちんと分かってるんだろうな


でも
私にはそれが少し息苦しい


凪沙だったら
きっと自分の欲しいケーキにまっしぐらで

私の事を気にかけたりしないだろうな


ケーキに夢中の凪沙を見て私はきっと微笑む


クスッ


「どうしたの?」


思わずこぼれた笑みに先輩が不思議そうに覗き込んだ

「いえ。
ただケーキおいしいなぁって。」


粉砂糖のかかったイチゴのケーキを頬張った


「今日は乃愛ちゃんに誘ってもらって嬉しかったよ。ねえ、知ってた?

乃愛ちゃんって結構人気あるんだよ?綺麗なのに気さくで、女の子らしいのにサバサバしてて…。」


「私のこと…知ってたんですか?」

驚きを隠せない私


「うん。
結構前から気になってたよ。だから、携帯を届けてくれた時にチャンスだって思った。」


照れ笑いをする先輩


私が女の子らしい…か


タバコ吸ってるの知ったらドン引きするかな?


ハンカチなんて滅多に持ち歩かないこと知ってるのかな?



本当の私を知ってもそんなこと言う?


外見だけの私を気に入ってくても

心が全然トキめかないよ
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