幼なじみ
「いらっしゃい凪沙くん。」
下から聞こえるお母さんの声


そして階段を上ってくる足音


ガチャ


「おじゃまします。」


凪沙が入ってきた


「ノックしてよ。
ヤバイとこだったらどうするの?」


凪沙はいっつもノック無しで入ってくる


「ヤバイとこってなに?」


「例えば、彼氏とヤってたりとか?」


「乃愛すごい下品。」


思わず背中を蹴飛ばした

イテッ
と小さく声をあげる凪沙


「彼氏なんていないくせに。」


凪沙は背中をさすりながら持ってきた問題集に取りかかった


マジで
うちまで来てやるかい普通?


一応
女の子の部屋に来てるんだよ?

少しは緊張したりしないのかよ?


まぁ
お互い男女を意識したことは無い


だから
仕方ないか……


でも
最近の凪沙は男らしくなった


ゴツゴツした骨張った大きな手も

適度に筋肉のある二の腕やガッチリした肩


昔は私の方が背も大きかったのに


「凪沙はできたの?
彼女。」



問題集に集中しながら凪沙は答える

「必要ないから。」



凪沙は昔からこう言って彼女を作らない


案外モテるのに


健全な17歳の男子が女の子に興味ないなんて…
あり得ないでしょ?


「ふーん。
あ、ピアノ弾くけどいい?」


ああ。

凪沙の了解を得て私は部屋のすみにあるアプライトに向かった


私の趣味はピアノ
今はもう習ってないけど
幼稚園からやってる


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