幼なじみ
誕生日
無重力を一瞬感じて
機械音と同時にドアが開いた


蛍光灯が眩しい一本の廊下が表れる



一歩踏み出すと
どこからともなく


線香の匂いが鼻腔を通り抜けた



膝がガクガク震えていることに初めて気付く…


ペタン

ペタン…



うるさいくらいに響くビーチサンダルの足音


『霊安室』


白いプレートがつけられたベージュ色のドアが私の前に立っていた…



怖い


逃げたい



嫌だ
入りたくない…


体がそのドアノブを握ることを拒絶する


凪沙はいない



凪沙はいない



凪沙は…




いない…



心に暗示をかけて
ゆっくりドアノブを引いた
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