君がくれた約束[続編]
私が車に乗ろうとしたとき、父親が言った。
「倫子!」
「……?」
「ふたりで一緒に説得して東京に行くんだ。簡単にひとりで帰ってくるんじゃないぞ?」
「……うん」
何故だか泣きそうになって、私はそれを必死に堪えて笑顔で手を振ると、車に乗り運転手が車を出す。
永遠の別れじゃないのに、すごく寂しい……。
「倫子さん、大丈夫?」
「……?」
「泣きそうな顔してるから。後悔してる?」
「してない」
私はそう言って、シュウの胸に顔をうずめ、少しだけ泣いた。
少しだけ……。
なんとなく私もシュウも無口で、東京に近づくと寂しさが増す。
でも私はいつかお嫁に行くんだ。
両親と同じようにひとつの家庭を作り上げていく。
今は寂しいけど、離れても幸せになることが一番の親孝行だよね?
私はシュウの手をギュッと握りしめた。
車はどんどん東京に近づき、見慣れた街並が広がる。
今日から又ここで暮らすんだ。
頑張らなきゃ。
シュウのマンションの前に着き、車から荷物を降ろしてシュウと運ぶ。
最後の荷物を降ろして、運転手を見送ると、マンションの目の前に男が立っていた。
……ヒデキ?