君がくれた約束[続編]
タクシーを降りた場所に行くと、タクシーを止めたまま、心配そうな顔をして外に出ている母親の姿が見える。
母親は私とシュウの姿を見付けると、優しく微笑み、私とシュウは母親の元へと向かう。
「ごめんね、お母さん」
「いいわよ。…シュウくん、久し振りね」
「はい。色々心配をおかけしてすみませんでした」
そう言ってシュウは頭をペコリと下げた。
「……。これからどうするかは、お父さんも居る所で話しましょ?」
お母さん…?
気まずそうな顔をして言う母親に私は戸惑う。
「じゃあ、又、ゆっくりお邪魔させて頂きます」
「そうね。じゃあ倫子、行きましょ?」
「えっ…?」
母親は複雑そうな顔をしたまま、タクシーに乗り込む。
「ごめん、シュウ…。又電話するから、番号教えて?」
私は鞄から紙とペンを取り出し、シュウに番号を聞き書き留めた。
「……。倫子さん、本当は何かあったんじゃないの?」
シュウが居ない間の事をシュウに知られたら?
私はその現実に怖くなった。
「…何もないよ。ごめんね、シュウ。携帯買ったら電話するから!」
私は必死に笑顔を作ってタクシーに乗り込む。
置いてきぼりの、シュウの背中が寂しい……。