君がくれた約束[続編]
母親は難しい顔をして黙ったままだった。
「お母さん…?」
「ごめんね、倫子…。あんな態度とっちゃって。倫子が幸せならって思ってたけど、実際シュウくんに会うと、あの日の事を思い出しちゃって…」
「…ううん。お母さんが安心出来るように、シュウと頑張るから」
私は笑顔でそう言ってみたけど、母親は少し頷いて黙ったままで、私はそれ以上何も言えない。
左手に出来てしまった傷痕が、今になってこんなに痛くなるなんて思わなかった。
シュウに対しても、家族に対しても、この傷は深い…。
母親と伊勢丸に行き、いっぱい服を買う。
「倫子、これなんかいいんじゃない?」
「えー、嫌。もっと派手な方がいいよ」
「そう?じゃあ、お母さんが買おうかしら?」
「…いいんじゃない?」
気を紛らわすように母親と買い物を楽しむと、母親も私もシュウの事には触れないで家に帰る。
「ただいまー」
「遅い!……」
大量の荷物を見て父親は口を開けたまま、黙ってしまった。
「たまにはいいでしょ?ねっ、倫子」
「そうだよ。あー、楽しかった。お母さん、又行こうね!」