雨水、恋ふ。
嗚呼……そうね。
置いていく気は……なかったのよ。
だってあなた、泣き虫じゃない。
ちょっと離れると、寂しかったとぶっきらぼうに言うあなた。
実は少し、涙目だったでしょう。
何でもお見通しなんですよ、私には。
ああ、もう、泣かないで?
大丈夫。いつかまた会えるから。
次会えた時は、またあなたと傘を共にしましょう。
ええ、約束よ、約束。
暖かい雨が、ポツリポツリと身を濡らす。
嗚呼、なんて優しい雨なんでしょう。
────ねぇ、私、雨が好きだったのよ。
「ほら、離れるとお前が濡れるぞ。」
「ふふ……はぁい。」
あなたの一番近くにいられたから。
愛しき雨よ。
どうか、どうか私とあの人とを
また会わせて頂戴な。
小さな小さな傘の中で、
恋の唄を紡がせて頂戴な。