この恋を叶えてはいけない
 
「ユイちゃん、お昼いこー」
「あ、うん!」


お昼休みになって、一緒に事務で働いている相田知香(アイダ チカ)ちゃんが、いつものように声をかけてくれた。

知香ちゃんはあたしよりも一個上だけど、大学の新卒で入ってきたので会社としては後輩。
だけど年は前後していて、お互いの上下関係が分からないね、ってことで、タメ語で話すようになった。


「やっぱ、ここのナポリタンはおいしー!」
「だよね。あたしも、ナポリタンならここのが一番」
「ねー」


なんて、いかにもOLらしい話をするあたしたち。

会社の付近には、小さなランチをするようなお店がいっぱいあって、毎日違うランチを食べられることが幸せだった。

 
「そういえばさ、知ってる?」
「何が?」


口の周りに、少しだけケチャップを付けた知香ちゃんが口を開いた。


「明日、支社からこっちの本社に、数人配属されるらしいよ」
「へー。男?女?」
「わかんない。数人っていうくらいだから、両方じゃない?」
「そっか」


どこからかそんな情報を仕入れてきた知香ちゃんの話は、そこまでのことしか分からなくて、
少しだけその配属された人たちが、どんな人なのか、って気になったけど、そこまで食い気味に聞きたい話でもなかった。


まあ、明日になれば嫌でも分かるんだしね。


そんなふうに思っていた。
 
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