この恋を叶えてはいけない
 
「朝会始めますー」


次の日の朝、開始時間になると役員さんたちが前に出る。
あたしも席を立って、前を見た。


そこには、見たことのない3人の男女がスーツをしっかりと着こなして立っていて、
あの人たちが支社から来た人かぁ……。
なんて、ぼーっと見ていた。


事務であるあたしの席は、そんな人たちが並ぶ席から一番遠くて、
寝不足気味だったということもあって、ぼやけた顔しか目に入らない。


どうせ、事務で必ず顔を合わせるあたしのところには、
別途挨拶に来るから今聞かないでもいいし……。


と最低なことを考えて、
一人俯きながら、別のことを考えていた。










「相田さん、早見さん、ちょっと」


午前の業務中、
やっぱり……。
と言うように、人事の人がさっきの数人を連れて、あたしたちのもとへやってきた。


さすがにここではちゃんとしなくちゃ。
と思い、笑顔を作って顔をあげた。
 
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