この恋を叶えてはいけない
 
「ほんまにええの……?

 これ以上したら、もう止められへん」


「……」



自分でさっき、待てないとか言いながら、やっぱりそんなことを聞いてくるのは、
戸村さんの優しさだと思う。


だけどあたしは、涙が滲む目で見上げると……



「戸村さんが……

 忘れさせてください」



そう言って、戸村さんの首に巻きついた。



「忘れさせてくれるなら……

 戸村さんがいい」


「唯っ……」



これは本心だ。


この先、戸村さんを、駿以上に好きになれるかは分からない。

だけど駿の存在がなければ、戸村さんを好きになっていたのは確実で
今だって、好きと言う気持ちがないわけではない。
 
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