この恋を叶えてはいけない
逃げ、だって言われればきっとそうだ。
あたしは逃げた。
駿があたしではない人を好きになるという現実から
寂しさを埋めるための逃げ……。
だけど今は、
そんな自分を正当化させるほど余裕なんかなくて……
「とむらっ…さんっ……」
「陵」
「え……?」
「陵って呼べや」
「……陵っ…」
目の前のこの人が…
辛い現実から救ってくれるのは確かだ。
「唯……唯香っ……」
「ぁっ……陵っ……」
でもこの瞬間に
あたしは本当にもう二度と
駿のところには戻れなくなった。